人間力を高める 一般社団法人 人間塾


vol.58「インド旅行で気づいたこと」

足るを知るものは富む、足るを知るは常に足る。(老子)

高校生の夏休みに父と一緒に2週間ほどインドへ旅をしたことが
あります。いわゆるパックツアーと言われるものではないので、
飛行機の手配から宿泊先、食事それから移動手段の手配も自分
たちでやらなければならない貧乏旅行でした。

インドへ到着し、宿でひと段落していると父が熱いお湯が入った
粗末なポットとお猪口ぐらいの大きさのグラスをふたつ持って
部屋に入ってきました。

「インドの水はほとんど殺菌されていないからそのままでは飲めない。
だから沸騰したお湯を冷まして飲むんだ。でも一気にたくさん飲んではダメだ。
グラスに注いで少しづつ飲むんだ。」

父はそう言うとグラスに半分ほどお湯を注ぎ私に渡してくれました。
私はそのグラスを眺めつつ「これから暫くはこんな生活が続くのか、
水もまともに飲めないなんて」と思っていました。

インド滞在中、喉が乾かないわけがありません。食事は当たり前の
ように辛く、その度にグラスに冷めたお湯を注ぎ、舐めるように
少しづつ飲んでいました。飲むというより「口を湿らす」「喉を潤す」
と言った表現の方が合っているのかもしれません。

町中にあるお店の裏では茶色い水で食器を洗っていますし、グラスに
注いでくれる水も茶色に濁っています。
そのような水が飲めるわけもなく、瓶に入った飲み物は消毒薬の匂いが
して、一気に飲むことはできなかったのです。

今のインドはミネラルウォーターもあり、水が飲めないということもない
そうですが、20年以上前はそんな環境でした。

日本に帰ってきて蛇口からでる水を飲んだ時、美味しい水を安心して
いくらでも飲めることに「有難いなぁ」と感じました。

日本で生活をしている時は、蛇口から安心して飲める水が出てくるのが
当たり前だと思っていました。いや、当たり前すぎてそんなことですら
感じていなかったと思います。
しかしインドを旅したことで当たり前のことが実は有難いことだと
思えるようになりました。
環境を変えずとも心のアンテナを高くすることで気づくことができ、
蛇口から水が出てくるということでさえも感謝することができ、
幸せを感じることができたのです。

筆者:一般社団法人 人間塾
人生学認定講師 山田 隆任(やまだ たかとお)
http://www.ningenjuku.net/qualified-list/

【 編集後記 】

最後までお読みいただきありがとうございます。
「人生学」を学ぶことで、20年以上も前の出来事を思い出すきっかけとなりました。
そして、その出来事があるから今の自分があることに気づかされました。
日々やることに追われて「今あるものに感謝する」ことを忘れがちになってしまいますが、これからはできるだけ周りに感謝を伝えていきたいと思います。


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