人間力を高める 一般社団法人 人間塾


vol.57「還暦を迎えて」

vol.57「還暦を迎えて」

子曰(のたま)わく、吾十有五にして学に志し、

三十にして立ち、四十にして惑わず、

五十にして天命を知り、六十にして耳順(したが)い、

七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰(こ)えず。

(…孔子はおっしゃった。

「私は十五歳で学問に志し、三十歳で自立した。

四十歳で物事の道理が分かり心の迷いがなくなった。

五十歳で天から与えられた自分の使命を自覚した。

六十歳でどんなこともよく理解することができるようになった。

七十歳になり、自分の思いのままに行動しても、

人の道を踏み外すことがなくなった」…)

偉大なる孔子先生が、自分の人生の歩みを端的に表したという名文ですね。
あまりにも有名なので、あっさりと「そういうものか…。」
などと不遜にも学の足りない私は、読み流しておりました。

しかし、今還暦を迎え、つまりは齢60を数えて、
おのれの歩みを振り返ってみれば何とも心もとないはなしで、
恥ずかしいかぎりです。

孔子先生には失礼ですが、半生を振り返ってみるならば・・・

十五で学に志し。
 星雲の志をいだいて上京し武蔵工業大学付属高校に入学。
 と言えば聞こえはいいですが、単に田舎が嫌でとにもかくにも
 東京に出て行きたかっただけというのが本音のところでした。

三十にして立ち。
 30歳の時、先代社長の後を受け、第4代の社長に就任。
 先代社長(叔父)が首長選挙に立候補し、残念ながら敗戦。
 その後処理の為に、社長に就任したというだけでして、
 満を持して皆に期待されて立ったというわけではありません。

四十にして惑わず。
 それまで、青年会議所という団体で日本いや世界中を駆け巡っておったのが、
 この歳をかぎりに卒業証書をいただき。家族のもとに戻りました。
 次に何をしていいのか解からずに、迷いの只中にありました。

五十にして天命を知り。
 バブルの崩壊とそれに伴う好不況の荒波に翻弄され、
 公共事業無用論のバッシングの嵐の中で、
 ひたすら生き残りをかけて目先の仕事にしがみつくという毎日。
 ついに刀折れ、矢弾がつき。
 父から受け継いだ家業を整理することになりました。
 生活再建の為、仙台、郡山と請われるままに職を求めて駈け廻りました。
 とても天から与えられた自分の使命などという大それたものに、
 思いをいたす余裕などありませんでした。

六十にして耳順(したが)い。
 さて今年、60歳になったわけですが、「どんなこともよく理解できる。」
 ようになるわけもなく、まだまだ学びも、理解も、実践も全く足りないのを感じるばかり。
 未だに人生航路で、壁に当たっては迷いながらの修行中の身と申すべきであります。
 ただ大きな変化は、昨年60を目前にしての一念発起であります。
 かねてより私淑しておりました、人間塾代表の小倉広氏の門を叩き、
 門下生の端に加えて戴きました。
 私にとっては、人生初のメンターを得ることとなりました。
 お陰様で、迷宮から脱けでる道筋が見えてきた様に感じております。

今あらためて「還暦」とは、やはり人生の大きな節目であるように思います。
十干十二支を一巡りし、0歳に戻ったわけです。
無垢の赤ちゃんなら良いのでしょうが、
還暦の赤子は、いろいろと余計な経験がヘドロのように身についており、
こだわりも多く、ちょっと扱いずらい困った存在かもしれません。
地域でも、「うるさ方」と敬遠される向きもあるのではないでしょうか。

サラリーマンであれば、定年の歳。
第二の人生をどう過ごすのか・・・。
今までできなかった趣味などに愉しみを膨らます?
それともやるべきことを見失い途方に暮れる?
毎日が日曜日、出かけることもなく家の粗大ごみと化す?
町内に請われて、地域活動に取り組む?
いやいやまだ老け込むには早い、キャリアを生かしてもう一花咲かす。
etc・etc・・・
おおいに考えを巡らし第二の人生を謳歌されることでしょう。

いずれにしても、人生の一区切りとして一息ついて、
半生を振り返り、新たなる門出となす時かと思います。

一方私はと言えば、貯金もなければ、借金もありません。
お金に出来るような資産も全くありません。
ないないづくしの身の上ではありますが、
有り難いことに、母は健在ですし、苦楽を共にした女房もおります。
子供たちはと言えば・・・。
まだ学生が一人いますが、それぞれに仕事を持ち頑張っているようです。

なにより私には、頼りにされている会社があり、
期待されている仕事があります。
(…そう思っているのは私だけかもしれませんが…)

好き勝手し放題、迷いっぱなしの半生ではありましたが、
己がこの世に生を受けた意味を自分なりにではありますが、
ようやく、少しは考えられる心の余裕も生まれてきました。

それもこれも、一念発起し、
「人生学を本気で学び・実践する」決意をしたが故でありましょう。
これもまた私にとっては、出会うべきして出会ったことであり、
その不思議さにただただ感謝するばかりです。

孔子先生のおっしゃる、
「六十にして耳順(したが)い」とまではいかなくても
周囲の声に耳を傾け、素直に理解するよう努めようと思います。
そして、
「七十にして心の欲する所に従えども矩(のり)を踰(こ)えず」
の境地に少しでも近づくことが出来れば、
我が人生も、少しは他人様に迷惑をかけないですむのではないでしょうか。

しかし・・・道は、まだまだ険しく遠いようです。

還暦を迎えた今。
これからは、さらに精進を重ね、
人生学を通してお役に立ちたいと思いました。

筆者:一般社団法人 人間塾
人生学認定講師 谷ヶ城 隆(やがしろ たかし)
http://www.ningenjuku.net/qualified-list/

【 編集後記 】

まさか私が、還暦になるとは考えもしませんでした。
若いころ、「還暦」と聞けばはっきり言って「お爺ちゃん」です。
間違っても自分だけは、いつまでも若く、そんな歳になどならない。
そんなことは、ありえないわけですが、
不思議にそんな風に思っていました。

しかし、今年の夏、家族がそろって「パパの還暦お祝い」と集まってくれるに及んで、
私も、60歳になったことを自覚しないわけにはいかなくなりました。
気持は、まだまだ「若造」の域を出ない未熟な私ではありますが、
世間では、もう立派な前期高齢者予備軍のようです。

いやでも自分の人生の締めくくり方を意識せざるを得ない歳と言えましょう。
そんな歳周りに、人生学に出会えたということは、
やはりこれは「天命」と言わざるを得ないように感じています。

私の第二の人生は、「人生学、そしてコンセンサスビルディング」と共にある。
そう思っています。

まだ少しづつではありますが、昔の仲間から、
講師としてのお声がけも戴けるようになってまいりました。

これぞ我が天命と益々元気に、
活動の幅を広げようと考えておるような次第です。
どうぞ気軽にお声がけください。

●人生学2級講座:2015年11月14日(土)10:00~17:00
 開催場所:栃木県鹿沼市 講師:川田浩也 最低遂行人数:3名~
http://www.ningenjuku.net/2nd_grade/


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