人間力を高める 一般社団法人 人間塾


vol.52「美しい横顔」

vol.52 「美しい横顔」

人間の真の強さというものは、人生のどん底から起ち上がってくるところに、
初めて得られるものです。人間もどん底から起ち上がってきた人でなければ、
真に偉大な人とは言えないでしょう。  森 信三

私は長年、高齢者介護の仕事をしてきました。
介護は大変な事も多いですが、それ以上にやりがいや学びの大きい仕事です。
特に、ご利用者の方達の「人間性」にはいつも頭の下がる思いです。

介護が必要になる。もし自分が同じ状況になったらどんな心持になるでしょうか。
不安、心配、恐怖、自己嫌悪…。
そんな衝撃的な出来事を人生の終盤で迎える。その葛藤は私たちの想像より
ずっと大きいに違いありません。

ある女性のご利用者がいました。その方は60代後半に脳梗塞で倒れ、認知症を発症。
言葉が不自由になり、歩く時にも杖が必要な状態になりました。
今まではキャリアウーマンとしてずっと働き、自分の好きなように生きてきた方でした。
ご自分の状況を受け入れられず、見舞いに来たご家族に暴言が続く毎日。
やがてご家族の疲労がピークになり、私が働いている施設に入居されました。

入居に納得できないその方は、部屋に引きこもり食事を一切取ろうとしませんでした。
職員がいくら関わりを持とうとしても強く抵抗される日々…。
日に日にその方は衰弱していきました。
もうこれ以上は命に危険がある。そう判断し、救急車を呼び入院となりました。

入院中、何度かお見舞いに行きました。
何日くらい通ったでしょうか。ある日、そのご利用者がぼそっと「ありがとうね」と
言ってくださったのです。
色々な想いがあったと思うのです。そんな葛藤を自分で昇華し感謝の言葉を下さった。
なんて強い方なんだろう、と思いました。

退院されてからその方は少しずつ心を開いてくださるようになりました。
施設の生活を受け入れ、食事もとり、ご自分から様々な手伝いまでしてくださるように
なったのです。
今では本当に活き活きと生活されています。

私たちの関わり方も良い方向に作用したとは思いますが
その変化はご本人の持っている強さがあってこそ起きたものなのです。

その女性の口癖は「ありがとう」
毎晩、お母さんの写真に手を合わせ「お母さん、ありがとうね。」と何度も
おっしゃっては、眠りにつきます。
その寝顔は、凛とした美しさに満ちています。

自分らしく生きる

その為には時に不条理とも思える逆境を乗り越えなければならない。

入居されている方の笑顔を見るたび、また感謝の言葉を聞くたびに
人間としての偉大さと強さと憧れを感じ、
それを後輩として受け継いでいきたいと思うのです。

筆者:一般社団法人 人間塾
人生学認定講師 川田 浩也(かわた ひろや)
http://www.ningenjuku.net/qualified-list/

編集後記

認定講師の川田浩也です。
お読み頂き、ありがとうございます。

高齢者の方の生活を支えるのが介護の仕事です。
そこには様々なドラマと想いが溢れています。
介護の仕事をするうえでも人生学の学びが土台にあればより良いケアの一助となる事を
確信しています。
今後、国民一人一人が介護を自分事として捉えなければ立ち行かなくなる時代がやってきます。
そのような時代に向けて、自分の役割を精一杯果たしていきたいと考えています。

●人生学体験講座、2級講座のお知らせ
栃木県で人生学体験講座、人生学2級講座を開催いたします。

人生学体験講座は9月9日(水)と10月27日(火)
ともに19時より20時半まで
http://www.ningenjuku.net/trial/

人生学2級講座は11月14日(土)
10時から17時まで
http://www.ningenjuku.net/2nd_grade/

どうぞよろしくお願いいたします。

●書籍のお知らせ
先日、人生学認定講師の篠崎 龍治さんの執筆した書籍、
「他人とうまく話せなくても未来が変わるアドラー心理学」
が、出版されました。
素晴らしい内容ですので皆さんも是非ご一読ください。
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