人間力を高める 一般社団法人 人間塾


vol.22「謙虚さと感謝に気付くには、下座行がいい 」

        

      vol.22「 謙虚さと感謝に気付くには、下座行がいい 」

 謙虚さと感謝に気付くには、下座行(げざぎょう)がいい。そうじがいい。

          鍵山秀三郎(かぎやまひでさぶろう)

カラン、コロン、カラン。

最寄駅から地下鉄に乗り込むと、空席が目立つ車内で列車の揺れに合わせ床の上
を転がるジュースの空き缶が、私の目に映った。床の上には、缶からこぼれ出た
ジュースの跡が残り、知らずにそこを踏むと、靴底が床に粘着し、とても嫌な気
持ちになりながら、慌てて空いている座席に着いた。

「誰だよ。飲みかけのジュースを車内に置きっぱなしにした奴は?」

苛立ちながら、周りの乗客を見たけれど、空き缶を置いた張本人がいる訳もなく、
みな何食わぬ顔で、スマホいじりに没頭しているようだった。

しばらくして、地下鉄は走り出した。すると、空き缶は、再び、列車の揺れにあ
わせて、あっちへコロコロ、こっちへコロコロ。静かな車内に、空き缶の転がる
あの金属音がやたら響き渡っているような気がして、何とも落ち着かなかった。

以前の私なら「これは、これで終わり!」となるところだった。

しかし、今「人生学」を学んだ私は、ほんの少しだけ心持ちに変化が生じていた。
それは、「下座行」という文字が、私の脳裏に浮かんでいたからだ。

「下座行」とは・・・。
自分の身を一段低くし、人様から顧みられないようなことについて、手足を汚す
ことを厭わずに行う施しのこと。

今、まさに「空き缶を拾い、ゴミ箱に捨てる」という、人様のために行う施しの
実践の場が目の前にあったのだ。

ところが、私は、この期に及んで、体がまったく動かなかった。

それどころか、見て見ぬふりしようとしていた。そして、「今やらなくても」と
か「誰かが拾ってくれるだろう」とか「周りの目があるから、少し恥ずかしい」
とか「かっこつけていると思われやしないか」など、自分には出来ないという言
い訳を必死になって探し出しては、出来ない自分を正当化しようとしていた。

「一体どうしたらいいんだ?」

私は、転がる空き缶をずっと目で追いながら、心の中で葛藤していた。
しばらく時間が経った。やがて、地下鉄は、目的地に近づき、減速を始めた。

その時だった。

私は、ゆっくりと座席を立ち上がっていた。そして、転がる空き缶の前まで歩き、
その空き缶を拾い上げていた。さらに、降車ドアの方にゆっくりと進むと、その
前で静かに立っていた。

驚いた。。。自分で自分に驚いた。誰かに軽く背中を押されたかのように、ごく
自然に行動していたのだ。そして、それと同時に、自然に行動した自分が、何だ
か少しおかしかった。

程なく地下鉄の降車ドアが開き、私は、拾い上げた空き缶を持ったまま、改札口
へ足早に向かった。途中、ホームにいる周りの乗客らに目をやったけれど、全く
いつもと同じ光景で、何も変わりなかった。「当たり前か」。空き缶を拾い上げ
る前に、色々と周囲の目を気にしていた自分が、何とも情けなかった。

階段を上がり、改札口の手前にある分別用のゴミ箱の前に着いた。

そして、手に持っていた空き缶といっしょに『数々の出来ない言い訳』を勢いよ
くゴミ箱に投げ入れたら、何だか、とても清々しい気分になっていた。

筆者:一般社団法人 人間塾 人生学認定講師 鈴木博史(すずきひろし)
⇒ http://www.ningenjuku.net/qualified-list/

【 編集後記 】

こんにちは、人生学認定講師の鈴木博史です。
最後まで、お読み頂き、ありがとうございました。

自分では、自分の変化がわからないものですが、最近、身近なひとから「笑顔が
増えた」とか「やさしくなった」と言われるようになりました。このように言わ
れると、少し照れ隠しで、「じゃあ、前はどんなにひどいねん!」とツッコミを
入れていますが、内心はとてもうれしいものです。

来年2015年1月25日(日)に、私が講師を務める「人生学体験講座」を開
催します。場所は、東京の東日本橋。講座では、人生学講座で実際に行われてい
るワークやシェアを体験して頂くとともに、実際に人生学を受講した私にどのよ
うな心の変化があったかなどの体験談も併せて紹介したいと思います。

ご興味がある方は、一度「人生学体験講座」を受講してみませんか。
心より、お待ちしております。

●人生学体験講座:2015年1月25日(日)10:00~11:30
 開催場所:東京都中央区東日本橋 最低遂行人数:2名~
https://argo-navi.net/mielca_ogurahiroshi/PublicSeminar.aspx?gId=1&sId=1&eId=140


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